76, 雑貨屋は利益が出ないのか?
「な~んにも残らなかったけど、楽しかったわ!」
そう言ってしまいたくなるほど、
雑貨屋さんは本当に利益が出しにくい業態です。
特にキャラクター雑貨は利益が出ない。
知り合いの中小企業診断士(※)を持っている方が、
そのまたお知り合いの、
とても頭の良い方に雑貨の仕組みを見てもらった事り、
「よくこんなことやっているよな」という一言が返ってきたという話を聞きました。
※ 中小企業診断士
国で唯一のコンサルタント資格。会社の経営全般を見て、
様々なアドバイスを企業にできる、それはそれは素晴らしく、
ハードルが高い資格です。
プロの目からしても、利益が出せない仕組みなのです。
それをキャラクター雑貨の例で、数回に分けてお話します。
■ 利益はどのくらい見込めるのか?
雑貨の原価は売価の60%が基本です。
1000円の商品は、600円で仕入れて販売する。
仕入先と商品にもよりますが、安いところで55%。高いところは65%です。
原価だけで見ると、400円も儲けがある。
100万売れば40万!?と思えるかも知れません。
これだけ見ると利益は出そうに思えます。
これが低いのか、高いのか?というと、
けっこう高い。
在庫を持って商売をするなら、
粗利70%、原価30%じゃないと儲からない!
という話を聞いたことがあります。
ちなみに、
アパレルの原価率は30%
ユニクロは平均38% (←これって、クオリティが相当良いって事なのです)
良品計画は56%
バルス42%
サザビー33% ※数字はググっ見つけました。
みなさん、もうけてる(笑)
キャラクター雑貨は、メーカーや問屋から仕入れる商品ばかりですからね。
自前でオリジナルを作ったり、独占販売契約を結んだりは、
小規模なお店だとなかなか難しい。
だから原価率が60%前後になってしまうのですね。
■ 出店する場所はどこがいいのか?
商品を仕入れるだけじゃお店はできないので、
商品を並べて売る場所を作らなければなりません。
店舗を開業するには、どこがいいのでしょうか?
1,路面店
・商店街や、ロードサイドの路面店
・商店街なら空き物件があるかも。
・ロードサイドは建物を建てたり、空き物件に出店したり。
メリット :賃料が低い。
デメリット:自分で集客しなければならない。
2,駅ビルやショッピングセンター
・ルミネや、イオンモールなどの郊外型ショッピングモール。
・直接かリーシング会社から出店の案内がある。
メリット :集客をしてくれる
デメリット:賃料他、初期投資、ランニングコストが高い
3,インターネット通販
・楽天やヤフーなどのモールへ出店
・自分でサーバーを構築して店を開く
メリット :出店コストが低い。商品も少なく始められる。
デメリット:売上のベースが低く、起動に乗るまで苦労する
雑貨は、だいたいセルフ販売方式ですので、
来店客数が多ければ多いほど売上は見込めます。
インターネットの場合は、検索のヒット数が来店客数になるのでしょうか。
集客力(=販売力)が一番高いのは駅ビルやショッピングセンターです。
お店がたくさん集まっているので、待っていればお客様が来てくれます。
ウインドウショッピングも多いのですけど、基本は買い物に来る場所ですので、
克ってくれる確率も高くなります。
路面店は、商店街に出店すれば、ある程度は見込めますが、
ショッピングセンターほどの集客はなく、
ある程度自分で集客をしなければなりません。
ロードサイドの物件だと、回遊客も少ないので集客が生命性になります。
インターネットは、市場規模が大きい。全世界にお客様がいます。
が、その分競合相手も世界中にいて、価格競争が激しい。
楽天などのモールサイトに登録して集客を見込んでも、なかなか実にならない。
始めやすいけど、続けにくいのかも。
■ 商業施設へ出店したとして。
僕は商業施設への出店を行っていますので、
その場合、どのくらいのコストがかかるのか。
いわゆる”家賃”ですね。
駅ビル、ショッピングセンターは、面積に応じて売上の数%となりますが、
それだけではありません。
1,固定家賃(月坪売上に対して10%~20%が最低保障家賃となります)
2,歩合家賃(固定分を超えた売上に対して、10~20%の家賃がかかります)
3,共益費(共用部の設備使用料です。坪5000円~1万前後)
4,駐車場負担金(1坪あたり3000円程度負担します)
5,空調費(最近では空調が別のところが多いですね。坪2000円くらい)
6,売上管理手数料(2~5万。売上を預けたり、両替機を使ったりの費用)
7,その他(ロッカー使用料、店長会費、廃棄物処理費用などなど)
加えて、光熱費や営業で使用する自店の費用がかかります。
売上見込みが300万。最低保障が月坪10万、30坪で計算してみます。
売上が350万だった場合、
1,固定賃料:100,000円/月 × 10% = 10,000円 × 30坪 = 300,000
2,歩合賃料:500,000円 × 10% = 50,000円
3,共益費:5,000円 × 30坪 = 150,000円
4,駐車場:3,000円 × 30坪 = 90,000円
5,空調費:2,000円 × 30坪 = 60,000円
6,20,000円
7,20,000円
以上で、69万の費用がかかります。(結構低く設定しました)
350万の粗利が145万。
そこから経費の69万を差し引いて、74万が残ります。
光熱費が4万、その他の経費が3万くらいですので、差し引き67万。
お店を経営するのはお金がかかるものです。
ついでにもう少し計算してみましょう。
残った金額の74万。
ここから人件費を支払います。
アルバイト1人で低く見て月13万くらい。(雇用保険の費用も含んで計算しました)
350万売上の規模だと、自分抜きで最低3人は必要です。
交通費は上限1万と設定しましょう。
人件費と交通費で、42万くらい。
すると、残りは25万です。
これがあなたの手取りです。
と、言いたいところですが、まだ法人税があります。
法人税は、利益の30%くらいがかかりますので、
(今は24%くらいになったのかな?)
年勘で最低7万円。
経費を差し引いた利益に税金がかかりますので、
その分は資金を準備しておかなければなりません。
これで終わり?
と、思いきや。
もし、借り入れをして資金を都合した場合、その返済があります。
350万規模のお店だと、在庫は売価で1000万くらいは必要です。
(計算しやすく1000万としました。本当なら1200~1400万くらい)
その原価は、600万。
内装は坪単価が20万(居抜きで)ですので600万。
什器はだいたい200万~250万。
消耗品、備品は30万くらい。
全部合わせると、1430万+消費税。
自己資金でまかなえられればいいのですが、
これを銀行などで借り入れすると、月々の返済が10万くらい。
これは、経費で落とせませんので、出てきた利益から払う事になります。
すると、25万に所得税や住民税がかかって、手取りが18万くらいになって、
銀行の返済が10万だから、手取りは8万になって、
来たるべき法人税の支払いのために預金しなければならなくなります。
これの他に、
出店には保証金がかかったり、
(最低保証売上の6ヶ月分くらい)
電話を設置したり、
レジを買ったり、
釣銭を用意したり。
初期投資にお金がたくさん必要になってきます。
簡単な計算でしたが、
なんとなく、
お金がかかって大変だこりゃ!
という事がわかったと思います。
そんな雑貨屋さんですが、決して利益が出ない!というわけでもありません。
各種条件を交渉したり、経費を削減するなど、企業努力である程度は出せます。
原価率を1%改善するだけで、
月350万、年間4200万のお店の場合、
4200万の1%なので、420万も改善される事になります。
その他に、削れる経費はとことん削る。
無駄遣いをしない。
なるべく定価で売れる努力をする。
などなど。
やれる事もたくさんあります。
ただ、総じて言えるのは、
仕事量が多くて、残る利益が少ない。
だから雑貨屋さんは、やる人が少ないんだな。。。
でも楽しい!これが一番!
誰もやらないなら、自分でやる!
がんばるぞー!
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